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平成30年度 十勝地区農協青年部協議会
第43回 海外農業視察研修(ヨーロッパ)

はじめに

この度、2月19日から10日間、十勝管内5農協から7名参加のもと、ドイツ・オランダ・フランスへ農業視察研修に参加させて頂きました。簡単ではございますが、視察研修についての報告をさせて頂きます。

ドイツ

シュミット牧場

フランクフルトより北北東に57㎞のところにある牧場で、両親と長男、次男の家族4人と従業員2人で、300頭の乳牛の飼育と200haの畑・バイオマス発電を行っておりました。長男は機械の修理などを専門に行い、次男はバイオマス発電所を担当してコントラも行っているそうです。

シュミット牧場

シュミット牧場

まず、最初に牛舎へ案内されましたが、ホルスタインだけではなく、ジンメンタールやブラウンスイスなどの牛もいて、普段見る事の無い種類の牛たちを見る事が出来ました。“丈夫でミルクいっぱい”がモットーという事だけあって、牛たちはとても元気そうで、かわいらしかったです。ここで出た牛たちの糞と尿は同じ敷地内にあるバイオマス発電所で使われ、残ったカスにカルキを混ぜて牛たちのベッドに使っているということに驚きました。

もう一つ驚いたのがバンカーサイレージでした。ここのバンカーサイレージはコンクリートのブロックを積み木のように積み上げて作っていました。そのため移動することも出来るそうです。

そして今ドイツでは牛の舌が青くなる病気が流行しているそうで、ちょうど獣医の人が予防接種に来ていました。

オランダ

グラドバッハ―ホフ

オランダのヘッセン州ユースタスライビッグ大学の実験農場で、経営と植物に対する研究を行っているところでした。経営については約90頭の牛を飼育し、植物については畑の穀物、飼料、ジャガイモなどをオーガニックで栽培して研究していました。

グラドバッハーホフ

グラドバッハーホフ

オーガニック栽培では8年輪作をして、化学肥料・農薬を使わない工夫をしていました。最初の2年はアルファルファを作り土に窒素を蓄え、3年目に秋播小麦を作って雑草を減らし、4年目でとうもろこしやジャガイモなどを作ります。5年目は冬の穀物(ライ麦など)を作り、6年目は豚の餌になる豆類(大豆など)を作り、7年目にまた冬の穀物を作り、8年目には、小麦や大麦などを作っていました。そのため、牛などの餌の自給率は100%だと言っていました。そしてオランダでオーガニックの大豆を作って何に使うのかと聞いたところ、食用ではなく豚の餌だと聞いて驚きました。

バーレンセ農場

巨大な温室で、無農薬でパプリカとミニトマトを作る施設でした。1つの温室が10haもあり、全部で30haもの敷地で栽培していました。温室の温度管理も灌水管理もすべてコンピューターで管理されていて、最先端のスマートアグリを見学させてもらいました。

他にも持続可能な農業を目指し、化石燃料ではなく天然ガスを使い自家発電を行ったり、地下エネルギーを温室に利用するなどして環境への負荷を出来るだけ少なくする取り組みが行われていました。

バーレンセ農場

バーレンセ農場

キャンピングファーム・ブロウヘク

70頭の乳牛の飼育と55haの牧草地とキャンピング施設を、両親と息子の3人で運営する牧場でした。1日3回するという搾乳は、抗生物質などを与えている牛もすべて搾乳ロボットでしており、回収できない乳は牛に付けられた電子タグで判断し廃棄し、機械の洗浄をしていて手搾りはないとのことでした。そのため毎日の仕事はまず牛ではなく、パソコンで前日の牛の乳量を確認することから始まるそうです。

キャンピングファーム・ブロウヘク

キャンピングファーム・ブロウヘク

オランダでは匂いなどの苦情が出るため、堆肥は全て牛舎の地下に貯めており、海抜-3mと低い土地のためトラクターで積んで運ぶにはぬかるんで埋まってしまうため、ホースを使い畑に撒いているそうです。そして苦情が来るくらいなので、堆肥を撒いた時はキャンプ場には観光客が来ないのかと聞くと、逆に田舎らしくてウケが良いと言われるらしく、矛盾を感じました。

フランス

モーリス野菜・果物農場

家族4人と従業員3人で17haの畑と温室で約40種類の野菜と果物を栽培している、小規模多品目で家族運営の共同経営農業集団(GAEC)でした。販売先も複数あり、自分達で運営している直売所や市場、近くのお店の他に、AMAPという生産者と消費者が契約して定期的に対面で販売するというシステムもありました。

農場の説明で興味深かったのが、アグロフォレストリーという新しい農法でした。畑の周りに木を植え、生物の多様性を利用するというやり方でした。木を植える事により、虫や鳥などの多くの種類の生物が集まることにより畑の環境が整うだけではなく、落ち葉が畑の養分となり、日陰や風よけにもなるというものでした。

 しかし、まだ始まったばかりの農法で上手くいかないこともあり、始めてから4年経つそうですが、何度か木を植え替えているので木の大きさがバラバラでした。ですが、水引きが早く、雨後もすぐ畑に入れるようになったり、病気や害虫の発生が抑えられ農薬がいらなくなるなどの効果もあるということなので、これからのアグロフォレストリーの発展が楽しみでした。

モーリス野菜・果物農園

モーリス野菜・果物農園

SIA(パリ国際農業見本市)

毎年フランスで行われている大きな農業のイベント“農業見本市”でした。フランスから農業・酪農に関する様々なものが集まり、農業関係者でなくても思わず楽しめてしまうようなお祭りでした。

牛や豚、羊や馬だけではなく犬や猫までもが集まり、様々な地域の特産品や加工品などの出店が集まった会場もありました。学校が休みの期間だったこともあり子供たちの姿を多く見かけました。様々な企業が集まった会場では、子供たち向けの実験や調理実習をするコーナーなどもあり、家族みんなで楽しめ、農業にふれることの出来るお祭りでした。

SIA(パリ国際農業見本市)

SIA(パリ国際農業見本市)

 

SIMA(国際農業ビジネスショー)

こちらもSIA(パリ国際農業見本市)と同じように大きなイベントでしたが、“トラクター”などの農業機械が中心の2年に1度パリで行われる国際見本市でした。去年帯広で行われた国際農業機械展でもとても広く普段見ることのない大きなトラクターに驚きましたが、SIMA(国際農業ビジネスショー)はその何倍もの広さの会場に、もっと大きなトラクターが集まっていました。

 一緒に視察に行ったメンバーはその凄さに興奮していましたが、機械に疎い自分にはいまいち分からず、勉強不足を認識しました。しかし、会場にはメーカーのグッズが売られているショップや、ゲームセンターのようなトラクターのシュミレーションが出来る機械やVR体験コーナーもあり、機械の疎い自分でも楽しめる会場でした。

SIMA(国際農業ビジネスショー)v

SIMA(国際農業ビジネスショー)

 

最後に

今回海外視察研修にいって思ったことは、思いきって行ってみて本当に良かったということです。まだ見ぬ海外の景色や日本とは違うヨーロッパの農業、新しい出会いや発見に期待している自分もいましたが、やはり最初は不安も多かったからです。英語もまともに話せず、今まで人との交流を積極的にしてこなかった自分でも大丈夫なのかなと。

しかし、最初は長いように感じた10日間の海外研修も終わってしまえばあっという間だったように感じます。そんな海外研修、視察の中で様々な日本の農業との違いを目の当たりにしましたが、その中で思い出に残っているのが、みんなで取った食事でした。今回の海外研修ではほとんどの食事が行程に組み込まれており、そのほとんどをみんなと一緒に取っていました。日本に比べて量が多くみんな食べるのに苦戦していましたが、どの国の食事もとても美味しく楽しいひと時でした。みんなとは今回の海外研修ではじめて会う人達でしたが、美味しい食事を共にすることで徐々にうちとけていくことが出来たように感じます。やはり美味しい食事は人と人をつなぐし、それを作る農業はとても大事でやりがいのある仕事だとあらためて実感しました。そしてその美味しさを分かち合い一緒に作っていく仲間の大切さも。

視察中は日本の農業との様々な違いに出会い、とても楽しく刺激を受けました。特に、環境問題に対する考え方は是非参考にしたいと思いましたが、やはり日本とヨーロッパでは条件が違い参考に出来るものが限られていると感じました。では同じ日本でなら、北海道なら参考に出来るかと思いましたが、自分はほとんど日本の農業も北海道の農業も知らないことに気づきました。これからはもっと身近なところからあらためて勉強したいと思いました。

今回、自分自身にとってはヨーロッパへ行くことはとても勇気がいることでしたが、チャレンジすることが出来たおかげで少なからず自信になったと思います。そして次回もまた頑張ってみたいと勇気と自信を得ることが出来ました。

今回、海外研修に行って新しい農業のやり方や広い世界を見てみたいと期待していました。けれど戻ってきたら違いました。新しいものに出会えましたが、そのことで逆に身近なことに改めて気付けたり、考えるきっかけとなりました。そして少しの勇気ももらえました。今回の思い出や経験をもとに、これからも美味しいものを仲間と一緒に作って、楽しく美味しく食べられるように頑張っていきたいです。

記事 青年部・村瀬冴美

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